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スマート製品開発の課題の理解とその克服

IoTの必要性

相手先ブランド製造業者(OEM)、特にプレミアム産業機器、機械、デバイスを製造する企業は、あらゆる方面からの圧力が高まっています。サプライチェーンはこれまで以上に複雑で不安定です。スキルと労働力の不足は常に存在しています。そして購買者の期待は高まり続けています。成功するため、さらには生き残るためにも、差別化と価値を再考する必要があります。

TSIA(Technology Services Industry Association)のVP、Research、Field Services & IoTのVele Galovski氏は、「製造、販売、出荷という概念は過去のものです」と述べています。

顧客、製品、設備に関するリアルタイムの洞察を収集する能力は、製造業者の競争力の重要な要素になってきています。データはこれまで以上に収集可能になっており、企業は競争力を維持するためにそれを効果的に活用する必要があります。データがなければ、片手落ちの状態で、激しく変化する世の中に適応するために戦うことになるでしょう。

モノのインターネット(IoT)は、「モノ」を接続し、製造業者の運営、マーケティング、顧客サービスの方法を変える素晴らしい機会を開きました。より深い洞察を提供し、より少ないリソースで、すべてをより低コストで実現できます。これは、消費財から産業機器・装置・設備まで、業界を変革する多くの、いや大部分のイノベーションの中核となっています。

機器事業から統合ソリューション事業への移行において、先行している企業は、過去3年間、より高い総株主リターンを実現しています。

- Bain & Company、ハードウェアパラドックス:機械は機械の枠を超えて拡張しなければならない

機器を接続することで生まれる可能性は、単なる誇大宣伝以上のものです。そうすることで、実際の具体的な結果をもたらすことができます。収集されたデータが効果的に使用され、実行可能な洞察に変換されると、その恩恵は広範囲にわたって膨大になる可能性があります。

機器接続への関心は、需要側と供給側の両者によって推進されています。エンターテインメントサービスからプラント設備、自動車、MRI装置まで、すべてがサービスとして利用可能です。購入者がスマートで更新可能な製品に快適さを感じるだけでなく、ますます多くのビジネス顧客が新しいデータ取得活用方法に期待しています。データ使用の増加は、技術の成熟によっても推進されています。センサーは非常に小さく安価になり、プロジェクトを成功させるための多くの経験を活用でき、分析と処理能力は何倍も向上しています。

DXの旅のどこにいても、繋がっているデバイスはビジネス目標を達成するために役立つ可能性があります。

Stats

接続された機器・装置とIoT成熟度曲線

顧客、経営陣、ビジネスパートナーの期待は急速に変化しています。課題は全く新しいものではありませんが、緊急性は指数関数的に高まっています。製造業者として、あなたは以下のことを求められています:

  • 効率を向上させ、無駄を削減する
  • 開発サイクルを短縮する
  • より良い顧客体験を提供する
  • 収益源を多様化し、持続可能性を高める
  • ビジネスの俊敏性を向上させる

DXがこれらの課題に対処するために不可欠であることは誰もが知っていますが、既製品として購入できるものではありません。すべての企業に適用できる万能のアプローチは存在しません。

適切に実行された技術を活用する変革は、収益成長、利益率、新しいビジネスモデル・サービスからの新しい収益源に直接的な影響を与えるでしょう。

- McKinsey、産業分野での影響を最大化するためのCEO向け技術活用変革ガイド

IoTが人工知能(AI)やエッジコンピューティングなどの技術とともに、ビジネス変革の中核的な推進力であることは広く受け入れられています。一部の人にとって、IoTの力は圧倒的です。その可能性の多様性と規模の大きさが、彼らをまるで車のヘッドライトに照らされた鹿のように、唖然として身動きが取れない状態にしてしまいます。

しかし、Equipment-as-a-Serviceモデルまで一気に飛躍する必要はありません。まずは、IoTと接続デバイスから恩恵を受けることができます。IoT成熟度の各段階で魅力的な恩恵があります(図を参照)。そして、これらの恩恵は積み重ねられます。つまり、始める強い理由も旅を続ける理由もあるということです。

iot maturity curve

Phase 1

最も基本的なレベルです。製造業者が成長する顧客期待に応え差別化するために、IoTを活用して製品に新機能を追加するフェーズです。例えば、サービスリマインダー、消耗品注文、ユーザー体験を向上させるデータ記録/可視化サービスなど、収益向上サービスが含まれる可能性があります。

誰が恩恵を受けるのか?

  • ユーザーは追加機能を享受

    基本的な接続デバイス機能を追加するだけでも、ユーザー体験の向上に役立ちます。

  • 製造業者は洞察を得て、製品を差別化し、顧客との信頼関係を構築

    接続デバイス機能は、製造業者が人々が自分たちの製品をどのように使用しているかを理解するのに役立ちます。収集されたデータは、新製品開発の形成、問題の迅速な特定に役立つ可能性があり、また製品リコールに関連する責任とコストを削減できる可能性があります。接続サービスは、競合他社との差別化にも役立ち、お客の好みに合わすことができ、信頼関係を構築できます。PHASE1は、製造、販売、出荷モデルから継続的な関係を構築していく新しいモデルへの移行のための最初のステップです。

ケーススタディ:Dürrがスマート塗装システムで無駄とやり直しを削減

Dürrは塗装工場設備の世界的リーダーです。そのシステムは世界中のすべての主要自動車メーカーで使用されています。そのシステムはすでに高度に自動化されていましたが、顧客は更に多くを求めていました。Cumulocityと協力して、それぞれ最大100個のセンサーを持つロボットを開発しました。現場では、詰まったノズル、汚染された塗料、気泡などの問題を発見できるエッジベースの分析システムに毎秒最大10,000の読み取り値をストリーミングし、分析します。問題を発見する時間を短縮することで、システムはコストのかかるやり直し作業を削減し、無駄を減らすことができました。また、固定サイクルに固執することなく、塗装ヘッドの熱洗浄が必要な時期を最適化することもできるようになり、エネルギーを節約しています。

Dürrが顧客の時間とお金を節約し、エネルギー使用量と無駄を削減している方法をお読みください。

Phase 2

IoTと最適化は密接に関連しています。接続された機器により、製造業者はスマートフィールドサービスを提供でき、コストを削減し、新しい収益源を創出できます。

機器製造業者/所有者は、ユーザーが過去に自分で行っていたり、第三者に委託していたりしたメンテナンスなどの追加サービスを提供することができます。IoTの可能性を完全に活用することで、所有者は予測メンテナンスを提供し、ダウンタイムのリスクを削減し、資産の寿命を延ばし、ユーザーに価値あるサービスを提供できます。所有者はまた、IoTを使用してイノベーションを行い、消耗品の自動注文を含む幅広い追加サービスを提供していくことができます。

誰が恩恵を受けるのか?

  • ユーザーは更に改善されたサービスを享受

    機器を接続することにより、停止を減らし、稼働時間を増加させることができます。リモートで分析することにより、パフォーマンスの向上、効率の向上、費用対効果の改善を推進できます。接続することにより、製造業者は自動インストールとトライアルプロセスを通じてユーザーをガイドするサポートを提供することもできます。ユーザー体験の向上に加えて、価値実現時間を増やし、製品の生涯価値を加速させるのに役立ちます。継続的なデータ取得により、消耗品とスペアパーツの自動管理も可能になります。

  • 製造業者は顧客とのより深い信頼関係を得つつ、節約

    リモートデータ分析は、顧客との関係を深め、信頼関係を向上させるのに役立ちます。データドリブンで機器の使用と条件を理解することにより、製造業者はフィールドサービスの提供を改善できます。必要な出張回数を減らし、初回修理率を向上させ、問題の修正にかかる時間を短縮することで、製造業者は応答時間を短縮し、カーボンフットプリントを削減しながら、サポートエンジニアの生産性を大幅に向上させることができます。

ケーススタディ:Flexcoがコネクテッド製品で顧客サービスを向上

Flexcoは、産業用ベルトコンベアとそのサービスを提供する大手企業です。その製品の多くは、採石場や鉱山などの遠隔地、アクセスが困難、さらには危険な環境で使用されています。コンベアが故障すると、生産の損失、さらには機器への損傷、人への怪我のリスクの可能性があります。ベルトは摩耗に最も脆弱なパーツであり、損傷、位置ずれ、張力の損失について定常的に監視する必要があります。しかし、手動検査は高価で危険な場合があります。ですので、答えはIIoTセンサーと堅牢なIIoTプラットフォームを使った常時自動監視を実現すべく繋がったベルトコンベアを開発することでした。その結果、Flexcoは稼働時間を向上させ、メンテナンスコストを削減しています。

Flexcoとその顧客がIoTとスマートフィールドサービスからどのように恩恵を受けているかをご覧ください。

Phase 3

Equipment-as-a-Serviceは、機器を販売する代わりに、製造業者がエンドユーザーにレンタルするビジネスモデルです。しかし、このモデルはそれ以上のものです。最終的には、顧客が自分のニーズに合った定義された成果に対して支払うことを可能にするため、機器メーカーに取っては、高収益サービスを提供し、データドリブンの洞察で製品を強化する機会を生み出すことができます。

McKinsey機械・産業オートメーション調査の回答者の95%が、将来成功するためにはビジネスモデルは変更されるだろうと回答しました。

繋がったデバイス技術を使用して、機器所有者は単純なレンタル期間よりも更に意味のある指標でレンタル価格を設定できます。最終目標は成果を測定することです:これは処理されたリットル、飛行時間、生産された単位、完了したバッチ、または他の様々な要素である可能性があります。

誰が恩恵を受けるのか?

  • ユーザーは柔軟性を享受

    大きな初期購入固定費用がなくなることにより、ユーザーは他の優先事項のために資本を解放できます。ユーザーは最良の状態を過ぎてまで資産(機器)を酷使するのではなく、最新の状態を保とうとします。そして、販売者はパートナーとなり、ユーザーの成功のために製品とそのサービスに投資します。

  • 製造業者はイノベーションに集中

    彼らは価値あるサービスをユーザーに提供することで、差別化できます。これは、顧客との「ウォレットシェア(財布の共有)」を拡大し、現在サードパーティーに流れている収益を獲得し、収入源を多様化するのに役立ちます。

ケーススタディ:WAINSが害虫駆除に「as-a-Service」をもたらす

おそらく、害虫駆除について深く考えたことはないでしょうし、漫画か何かで見たものを想像しているかと思います。おそらく頭に思い描いているその絵は最新の害虫駆除からはかけ離れたものです。WAINSは比較的新しい会社ですが、業界で旋風を起こしています。Cumulocityと協力して、害虫駆除を現代的で顧客志向のサービスに変えるスマートソリューションを開発しました。その「昆虫クラウド」は、リアルタイムリモート監視を可能にし、膨大な時間とコストの節約をもたらします。感染をより早く検出できることで、顧客は損害を軽減し、規制問題を回避できます。WAINSは、その製品「traptice」を柔軟なリースモデルで提供しています。新規顧客はリスクなしでデバイスを試すことができ、自分自身で恩恵を享受したことを確認して、サブスクリプション契約を更新できます。

WAINSがIoT、AI、自動リアルタイム監視を害虫駆除へ応用している方法をご覧ください。

Summary table

なぜプロジェクトが前進しないのか?

IoTがスマート接続製品と革新的なサービスを提供し、差別化、成長、顧客ロイヤルティの向上を実現するプラットフォームを提供している状況は良いニュースです。では、何が問題なのでしょうか?

IoTプロジェクトの課題は、あらゆる変革プロジェクトでの課題と同じです。それらは4つのカテゴリに分類されます:

  • アイデア創出と優先順位付け
  • 実装
  • スキルと専門知識
  • 文化とプロセスの変革

課題の克服

適切なアプローチにより、システムが、より密接に連携され、プロセスがより繋がり、従業員と顧客の体験がシームレスで楽になり、情報と洞察がより自由に流れる、真のエンタープライズグレードの接続資産(コネクテッド製品)を構築することができます。

戦略

チームは「海を沸騰させる」ことを試みようと出発する場合があります。IoTに慣れていない会社がEquipment-as-a-Serviceモデルにいきなりジャンプするのは、初心者のアイススケーターが4回転アクセルを試みるようなものです。特に既存の製品を適応させていくような既存の組織にとっては、ゼロから始めるスタートアップではなく、IoT成熟度モデルに従って段階的なアプローチを取る方が通常は簡単です。

逆に、技術チームは詳細な部分で行き詰まりやすく、設定を調整したり、パラメータを調整したり、異なるベンダーからのコンポーネントを統合しようとしたりします。これにより、チームは意図されたビジネス成果を見失うことがあります。プロジェクトでは、意思決定者がすぐに具体的な結果が出ない場合に、我慢できずにプラグを抜くため、しばしば失敗します。

「実用的な技術」に焦点を当て、考慮された段階的なアプローチを取ることがお奨めです。特に成熟度が高まるにつれて、エンドユーザーの視点から、常に接続デバイスプロジェクトを見続けることをお勧めします。

実装

IoTプロジェクトを実装する際の重要な決定事項の一つは「構築するか購入するか」です:

  • 自分でソリューションを構築することは、自らの完全な制御下で、完全にオーダーメイドのものを構築できることを意味します。また、適切な人材を得ることの問題、プロジェクトの遅延など、試行錯誤を通じて学習しなければならないことにつながる可能性もあります。
  • ソリューションを購入することは、より多くの支払いと制御が少なくなるリスクを伴います。(そうである必要はありませんが。)経験豊富なソリューション提供者は、落とし穴にハマらぬようナビゲートし、総コストを削減し、他の業界からの知識をもたらし、それは最終的には非常に貴重であることが証明される可能性があります。

しかし、なぜ選ぶのでしょうか?どちらか一方に決める必要はありません。「購入と構築」アプローチでは、両方のベストを取ることができます。

購入と構築:利点

IoTを使って、組織に対してどのように価値を生み出すことができるかに対処することに焦点を当ててください。具体的なビジネス成果をより早く生み出すほど、プロジェクトへの多くのサポートを得ることができ、それが標準的な運用の一部になるのが早くなります。「購入と構築」戦略を採用し、IoT構築の技術部分をそれを事業にした人々に任せることを勧めます。

より早く構築:

  • スキル不足を回避する
  • よりスマートに働く
  • 既に実証されたソリューションコンポーネントを活用してソリューション開発を加速する

より早く価値を実現:

  • コストに跳ね返ってします間違いとベンダーロックインを回避する
  • 他者の経験から学ぶことで価値を大きくする

より早く成長:

  • 最初からスケーラビリティを構築する
  • オープンソースを活用して制限的な独自技術を回避し、選択肢を開いておく
  • 人材をスキルアップする
  • セルフサービスプラットフォームでより早くスケールし、変更を行う
  • IoTソリューションのリーチ(提供範囲)をより早く拡張する

足りないスキルの取得と保持

常にスキル不足があるようです。この問題は、IoTなどの最先端技術では特に深刻です。基本的なIoTプロジェクトでさえ、実装を成功させるには、複数のスキルの密接な統合が必要です。多くの技術会社でも、IoTソリューションの経験の深さと幅を欠いています。

必要な専門スキルの中でも特に重要なのはサイバーセキュリティです。IoT、特に大規模IoTには、セキュリティマインドセットの変更が必要です。IoTの初期の頃、研究者がデバイスに対する概念実証攻撃を実演することから学ぶのが一般的でした。それ以来状況は大きく変わりましたが、問題の理解が向上したのと同様に、備えるためのコストも上がりました。攻撃は理論的なものから日常的な現実的に起こるものに変化しました。そして、失敗することは莫大な損出につながる可能性があります:

  • 接続デバイスがメーカーと顧客の行動にとって重要になればなるほど、それらが機能しないときの問題は大きくなります。
  • 収集されるデータの量と重要度は急速に大きくなっており、もし漏洩した場合のリスクを高めています。
  • データが盗まれることが、会社を危険にさらす唯一の方法ではありません。データが改ざんされることも破滅的な結果につながる可能性があります。それは財政的影響だけではありません:例えば、水処理プラントやその他の重要なインフラへの攻撃を想像してみてください。
  • 接続デバイスは、クラウドベースのアプリケーションを含む他のデバイスやシステムへのゲートウェイになる可能性があり、幅広いケアが必要です。

カルチャー

技術は重要ですが、ソリューションの一部に過ぎません。成功するIoTプロジェクトには、組織全体での大きなカルチャーの変革が必要です。業界経験はパートナーにとって必須条件ですが、あくまでも最低条件です。どのパートナーも、貴社の目標を理解していることを示すべきです。パートナーは貴社のIoT導入を加速するのを手助けすべきですが、貴社の変革に適したスピードを決定する内外の文化的懸念を尊重せねばなりません。

顧客が実行する前に、切り替えを!

時間があるように感じるかもしれませんが、物事は速く動きます。考えてみてください、直接機器販売のみに固執したらどうなるでしょうか?以下の図のようなことが想定されます。

直接機器販売のみに固執したらどうなるでしょうか?

接続されたデバイスを活用して:

  • 顧客のニーズと要望に基づいてサービスを調整する
  • 顧客に対する戦略的価値を高める
  • 耐久力のある、継続的な収益源を創出する
  • より早い製品リリースでイノベーションサイクルを短縮する
  • 新しいビジネスモデルを創出するためにイノベーションと差別化を行う

なぜ止まってしまっているのでしょうか?

取り残されないでください

Cumulocityは、コネクテッド製品戦略を成功させるために必要な要素を理解しています。お客様の取り組みがどの段階にあっても、さらなる成果達成を支援します。当社のアプローチは、組織と顧客にとって最適なスピードを重視しつつ、「開発の迅速化、価値創出の迅速化、成長の迅速化」を常に追求します。

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